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研究会ブレーンが、独自の視点で「評判づくり」を語るコラム

第15回 評判づくりに欠かせない経営トップの役割

高雄宏政氏 株式会社タカオ・アソシエイツ 代表取締役
高雄 宏政 氏

1949年生まれ。1973年同志社大学卒業。大正製薬、「週刊ポスト」記者などを経て、1978年に編集制作兼広報支援会社を
設立。1988年から1993年まで日本編集制作会社協会理事長。1993年より現職。この間、経済ジャーナリストとして週刊誌
などに連載記事を執筆。
著書に「企業出版の研究」、「リーダーの決断〜苦境を乗り越えた男たち」、「企業イメージと広報」(共著)、「広報の仕掛人
たち」(共著)、「マーケティング・コミュニケーション大辞典」などがある。
日本パブリックリレーションズ協会理事、日本編集制作会社協会理事

 

経営トップが企業にとって最高のPRパーソンであることは言うまでもない。相手を魅了する包容力、簡潔で要領を得た受け答え、そして何よりも経営に対する確固たる信念と実行力を持ったリーダーは、その企業のイメージをいやが上にも高める。逆にワンマンで、思考に柔軟性のない経営者を見ると、企業イメージは大きく失墜する。私はこれまでに200名以上に及ぶ大会社の経営者に取材した経験があるが、トップに対する評価がそのまま企業評価に結びついていることは間違いない。PI(プレジデント・アイデンティティ)が広報活動にとってきわめて重要な要素になっているのもこのためだ。

経営トップが企業の評判づくりの上で大きな役割を果たしていることは、当社が行っている報道記事分析やマスコミサーベイなどの各種調査でもはっきりと示されている。たとえば経営トップがよくメディアに登場する企業は、一般記事の露出も多く、全体的に論調は良好だ。同じ業界内にあって、企業規模や知名度の似通った3社を比較したところ、経営トップの露出が多いA社に対して、トップの露出がその半分程度しかないB社は、掲載記事がA社の7割程度しかなかった。またトップの露出がA社に比べて3分の1しかなかったC社は、掲載記事はA社の3割、論調を判断する指標は2割程度という低さだった。

同一の会社に対する調査でも、経営トップに対する理解・認識(認知度)が上がってくると、企業イメージも広報活動に対する評価も良くなってくる。ある企業の場合、社長に就任した直後に実施したトップに対する認知度は3割程度だったが、それから3年後の調査では6割超えた。それとともに、成長性や将来性に対する評価は3.6倍に、信頼性や安定性に対しても約2倍ほど高くなり、広報活動全般に対する評価も大幅に向上した。さらに報道件数も4割近くアップしたのである。

もう一つの調査は、経営トップに対する評価と企業イメージの関係性である。これは同時期に実施した3つの会社のマスコミサーベイで判明したことだが、社長に対する評価(5項目を3段階で評価)が最も高いA社と、中間のB社、3社の中では社長の評価が最も低いC社を比較したところ、A社の場合は「企業イメージが良くなった」と回答した記者が65%だったのに対して、B社は44%、C社は24%しかいなかった。「社内に活気がある」や「将来性がある」という回答は、A社ではほとんどが「Yes」としたが、逆にC社では大多数が「No」だった。

このように、1.トップの露出が多い会社は記事の論調も好意的であり、2.トップの認知度が高い企業は企業イメージも良く、3.トップの評価が高い企業は企業イメージも向上していることがわかる。企業イメージは経営トップの実力と個性が大きく左右する。トップの名前が思い浮かばないような企業ではだめだし、トップに対する評価が企業の評価に直結することも間違いない。そこにPIの重要性と難しさがあるようだ。最近、ニュースレターなどの情報発信ツールで経営者を前面に出し、盛んに経営方針などを語らせるようになったのも、このためであろう。

(2007年6月8日更新)


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