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研究会ブレーンが、独自の視点で「評判づくり」を語るコラム

第51回 パタゴニア式正しいプロセスと誠実さ

藤倉克己氏 パタゴニア日本支社
マーケティングディレクター
藤倉 克己 氏

秋田県出身。青山学院大学卒業。1987年、パタゴニア社に入社。翌年、パタゴニア日本支社を設立。
その後、米国本社の日本事業部長に就任。米国本社でウェットスーツの製品開発責任者も経験し、現在は本社インター
ナショナル・マーケティング・ディレクター、日本支社マーケティングディレクターを兼務。
サーフィンをこよなく愛し、そのキャリア34年。

 

【今回のコラムは第57回当研究会セミナー(2010年1月開催)にてご講演いただきました、パタゴニア日本支社の藤倉克己様にコラムをご執筆していただきました。】

パタゴニアは、カリフォルニアに本社を置く合衆国法人である。その創設者であり、現会長であるイヴォン・シュイナードは、20年も前から我々社員にこう教えてくれた。

「パタゴニアのビジネススタイルは、日本のゼン・アーチェリー(弓道)のごとくである」。

最初に一度的(まと)を見据えた後は、すべての正しいプロセスに集中する。呼吸を整え、正確な歩幅、腕の位置、矢の高さ、引く力。矢を射る直前になって再び的を見て、最良のタイミングで、放つ。彼は続ける。「すべてが正しければ、矢は的に向かうであろうし、仮に的を外れたとしても、原因が理解し易く、早期に修正がきく」。アメリカの企業である会社のアメリカ人である経営者からの言葉である。

企業は、成果というものを期待される。パタゴニアも同じである。しかも必然の結果としての成果である。偶然性を排除して成果を上げる方法としては、この「弓道方式」は確定要素に守られている。
ただし、もし確実に的に当てることだけに集中するなら、弓が上手な第3者に頼んで当てることもできるし、わずか1メートル前から狙うことさえもできるであろう。しかし「社会」に存在する企業は、健全であるべきだ。それを企業体質の面からいえば「誠実であるべきだ」ということであろう。誠実であることは、常に味方を作る。それがベンダーであれ、顧客であれ誠実であることを大切にする企業は味方が多いはずだ。何しろまずインターナルに社員が味方になるからだ。私は「評判」とはそういうところから必然的に自然発生的に生まれるものだと信じている。

「正しいプロセス」を履行することは、決して楽ではない。パタゴニアでの正しいプロセスとは、何を基準にするのだろうか?
パタゴニアにはそれを計る考え方があり、それをコア・バリューとしている。高品質、誠実であること、環境主義、しきたりに捉われないこと。この4つの条件のどれをも落とさず、合致する意思決定をすればおのずと正しいプロセスに至るとするものだ。経営計画はもちろん、製品開発・製造から社員生活や、果ては敷地内の雑草取りまで、社内の意思決定はすべてこのコア・バリューを使って正しいプロセスを見出している。とても便利である。

パタゴニアのアメリカ本社では基本的に、誰に対してもほぼ全面的な見学を開放している。コア・バリューによって経営全般が不都合であるべきではないから、競争に身を置くことを優先しなくてもよいからである。パタゴニア式の「評判」は、常にバイプロダクトであるが、その評価は常に誇れるものであるように心がけている。

(2010年6月22日更新)


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