ピーアールコンビナート株式会社

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社員対談

PRパーソンの核である「リレーションズ」に
正面から向き合う
~メディアリレーションズだけではなく、
社会とクライアントの繋がりをデザインする時代へ~

PR2部 シニアアソシエイト
山元 航平
Kohei Yamamoto

PR3部 部長

大島 佑介

Yusuke Oshima

PRの役割は「パブリック・リレーションズ」の名に示される通り、社会との良好な関係づくりにあります。PRにおける「リレーションズ」とは核心かつ普遍的なテーマですが、一方で時代の流れによって関係性の結び方は変化するものでもあります。約20年のPRキャリアを持つ大島佑介と、2019年入社で学生時代からデジタルコミュニケーションをテーマに模索してきた山元航平が、関係構築の現在地、そして未来について語ります。

「リレーションズ」とはメディアだけでなく、社会とクライアントを繋ぐこと

大島佑介(以下、大島):私たちPRパーソンにとって「リレーションズ」はすべての業務に関わることです。非常に広いテーマであり、人によって捉え方やイメージが異なるところも大きいと思いますから、改めて見直してみたいと思います。
まず、よくある誤解として、「新聞や雑誌、テレビの肝となる担当者を全員知っていて、どんな案件でもとにかくコンタクトして掲載を取ってくるような関係性」、いわゆるメディアリレーションズこそが、PRにおけるリレーションズと捉えられることがあります。

もちろんメディアとの関係もリレーションズのひとつですが、それがすべてではありません。かつてはPRといえばメディアで紹介されること、パブリシティの獲得が主な業務と考えられる傾向があったため、そのようなイメージが定着してしまった部分もあります。しかし本来は、クライアントから依頼を受けた課題に対しては、さまざまな団体や個人が多岐にわたって関わっており、そのすべてにリレーションズは発生するわけです。

山元航平(以下、山元):私は新卒で入社して以来、ピーアールコンビナートの中では先輩たちが本来のパブリック・リレーションズの考え方をベースに議論をしているので、自然と「リレーションズ=クライアントと生活者などの各ステークホルダーを繋げること、その道筋」と捉えることができている気がします。
もともと私は学生の頃から、人と人の繋がりやその成り立ち方に興味がありました。当時、スポーツ系の専門メディアでのインターンでSNSの運営や記事執筆を担当していたのですが、熱狂的なファンがついているスポーツでしたので、Twitterで何か投稿すればファンの方々がすぐに反応をくれて、拡散してくれました。ときにはそのスポーツに関心がなかった人も巻き込んで広がっていく出来事も経験しました。そんなふうにファンの方と一緒に盛り上げていくような一体感がとても楽しくて、これが理想的なPRの形なのかもと思っていました。
今はSNSのおかげで、企業と一般の生活者が直接コミュニケーションをとれるようになっています。ファンとの繋がりを活かしながら、みんなでPRをしていくような、いわゆる共創がしやすい世の中になっている。これを仕事でも取り組んでいきたいと思ってピーアールコンビナートに入社しました。

普段、生活者としての自分を顧みると、気になるドラマやおすすめスポット、飲食店などを選ぶ際、メディアや企業の情報はもちろんなのですが、友人のおすすめを取り入れているほうが断然多いような感覚があります。それを踏まえると、企業は信頼できる第三者に口コミをしてもらえるような働きかけが重要なんですよね。そういう意味で、人が動くにあたって、企業と人の繋がり、人と人との繋がり、繋がりを新たにつくることがPRには不可欠だと考えています。

細分化した興味関心をクリティカルに捉え、クライアントの提供価値と結びつけていく

大島:山元さんが体験した、ファンと一体となってつくりあげていくPRというのは、私たちピーアールコンビナートの「共感者を創り、育て、拡げる」という“評判づくり”の視点と通じるものがありますね。
友人のように信頼のおける人からの情報は受け入れやすく、知らなかったことにも興味を持たせてくれて、行動のきっかけにもなります。そういう関係を構築することがPRとしては理想型ともいえるわけです。

特に注目したいのは共感者を「育て、拡げていく」部分です。かつて情報発信といえばマスメディアからの一方通行だった時代から、今はSNSで個人が発信できる時代になって、生活者の興味も非常に細分化されてきています。この世界ではクライアントが闇雲に伝えたいことだけを発信していても、届けたい人に届けることが難しくなりました。細分化された生活者の興味関心を的確に捉えて、クライアントが提供する価値とリンクする部分を探し出して繋げること、そして拡大していくことが、私たちPRパーソンの役割だと考えています。

山元:私は、関係づくりで大切なのは継続性だと考えています。いっときのことで終わらずに、継続的に繋がり続けることで、関係性が深まり質も良くなっていくのではないでしょうか。大島さんが「育て、拡げる」を重視されているというのも同じことですよね。
マーケティング論で、コトラーが「売れ続ける仕組みづくり」を提唱していますが、PRでいえば「繋がり続ける仕組みづくり」を考え抜き実践することが、良い関係性を構築するために必要なのではないかと思うんです。

大島:どうしても業務ではプロジェクトが終了してしまえば繋がり続けるのが難しいことも多いです。それでもできる限り、せっかく繋がったご縁をこちらから切るようなことはしないようにしていますね。
たとえば記者の方には、「あの記事、興味深く読みました」とSNSで軽くお伝えするようにしたり、お世話になった飲食店であれば、コラボレーションが終わってからも時々うかがうようにしたりと、小さなことかもしれないですが繋がりは保っていくようにしています。クライアントにしてもメディアにしてもそのほかのステークホルダーにしても、信頼を丁寧に紡いでいくことが継続的な関係づくりには不可欠です。

信頼というのは、私はごく薄い紙、1枚1枚の積み重ねだと考えています。慎重に重ねていっても、たった1回でも失礼があった瞬間に、その紙はすべて吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばれることなく一定のところまで積み重ねなければ、その人から信頼を得ることはできません。
もちろん、いったん信頼関係ができても、時間が経つにつれて徐々に目減りしていくものですから、その後も繋がりを保っていく努力は続けていくようにしています。


PRにおけるリレーションズとは「繋がりをデザイン」すること

山元:PRにおけるリレーションズづくりとは、「繋がりをデザイン」することだと私は考えています。クライアントから依頼を受けた商品PRであれば、クライアントと社会を繋げる。自治体のコミュニティ運営であれば、コミュニティの中の人同士を繋げる。そのベストなカタチを模索して提案、実践していくことが「繋がりのデザイン」であると言えます。
私は大学で情報工学を研究してきました。複雑ネットワークという領域で、主にTwitterで情報がどのように広がっていくのか研究していたのですが、情報が広がる仕組みは、感染症の拡大と同様で、まず人と人が密に接すること、そしてコミュニティを越境することが重要です。人と人が繋がることで、情報は伝播していくんですよね。

私がPR会社に入った動機は、この繋がりのデザインを実践したいという思いがありました。今は実務に携わりながら研究中といったところですが、今後も探求していきたいと考えています。

大島:インターネットを介したコミュニティでも、人と人との繋がりやコミュニティの越境がポイントになるというのは興味深いですね。
以前私が担当したゴルフウェアPRの例をお話させてください。かつてゴルフウェアといえば、お父さんの休日着、ファッション性には今ひとつ欠けるもの、というイメージが強くありました。それを払拭させるために、敢えてコレクションモデルを起用して、高級ファッションエリアにランウェイを作り、ファッションショーを開催しました。ファッションメディアも多数招待しました。結果、いくつかの雑誌の編集者がおもしろがってくれて。ゴルフに見向きもしなかったメディアが企画を立ち上げてくれて、当時は彼女が着れば即完売というほどの大人気モデルに着用してもらう雑誌の企画も実現し、ウェアが飛ぶように売れるという成果が得られました。
この事例では山元さんのいう「越境」によって、従来とは異なる人の繋がりが新たにでき、新しいファンが生まれ、より拡大していきました。良好な関係が構築できたという手応えのあった体験でしたね。

良好なリレーションズの「価値」を、説得力をもって提示できるようになるために

山元:私は自身の研究ルーツもありまして、情報がどうやって拡がっていったのか、目に見える形で効果測定できるツールを開発したいと考えています。情報の伝播が構造的に理解できるようになれば、適切な人に適切な情報をお届けできる仕組みを構築することができます。この仕組みを実装できれば、企業にとっても生活者にとっても価値を生み出すことができると思うんです。

大島:アプローチはオンライン、オフラインどちらもありますが、関係構築の意義に説得力を持たせる取り組みも、PR会社にとっては必要ですね。
例えば高齢者を対象にしたDXの推進を考えてみましょう。わかりやすく効率的なデジタルインフラを追求することは大事なのですが、では実際に使ってみてもらう、イベントに来てもらうなど人を動かすときには、近所の人に声をかけてもらうといったリアルでのコミュニケーションが功を奏する場面をよく目にします。
コロナ禍も強力な追い風となり、ここ数年でコミュニケーションのデジタル化は急激に進みました。デジタル化が進むということは、コミュニケーションの成果が定量的に数値に置き換えられる時代になったということです。もちろん効果測定という意味では良い面もあります。しかし人と人との繋がりの中から生まれる、量ではなく質の部分――熱量といったらいいのでしょうか、それが生み出す人を動かす力は、数字として可視化できないものも確実に存在します。私はそこを大切にしたいと考えているので、可視化できないものにどう説得力を持たせるかというのはひとつの課題であり、チャレンジしてみたいところですね。

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