評判づくり研究会
研究会についてプログラム内容ブレーンリストセミナーのご案内コラムお問い合せ
HOME > コラム > 第52回
研究会ブレーンが、独自の視点で「評判づくり」を語るコラム

第52回 企業の評判に関する評価軸の変化と多様性

久米谷弘光氏 株式会社ノルド社会環境研究所
代表取締役
久米谷 弘光 氏

1957年北海道に生まれる。北海道大学教育学部(社会学専攻)卒業後、地域計画コンサル、市場調査会社を経て、
1986年ピープルズシンクタンクとして株式会社ノルドを設立(取締役)。1992年から代表取締役。
社会環境研究所は1991年に個人や機関を取り巻く社会的な環境と、人間社会と環境=生命系との関係を調査研究
領域として開設。
社会環境政策、地域計画、マーケティング、コミュニケーションなどの分野の調査研究に取り組み、リサーチや戦略
構築面で各種PRプロジェクトに参画している。NPO法人循環型社会研究会理事。

 

【今回のコラムは当研究会の外部エキスパートであります、ノルド社会環境研究所の久米谷弘光様にコラムをご執筆していただきました。】

企業の評判には、当然のことながら「良い評判」も「悪い評判」もあります。では、その評価はどのような基準でなされるのでしょう。

ノルド社会環境研究所では、2006年から2009年の4年間、全国2000人を対象に「評判の良い企業」と「評判の悪い企業」を1つずつ挙げてもらい、その理由を尋ねるアンケートを実施しました。

その結果、「評判の良い企業」については、2006年から2008年の3年間、トヨタ自動車が連続でトップの座を占めていました。しかし、2009年はファーストリテイリングにその座を譲ることになりました。

その背景には、人々の企業に関する評価軸の変化がありました。2006年から2007年においてトヨタの良い評判を形成していたのは、売上、利益、株価などの「業績要素」と、GMを抜いて世界一となる勢いをもった「業界リーダー」としての地位やブランド力でした。しかし、2008年から2009年にかけては、世界的な自動車市場の縮小とそれによる業績の後退によって、「業績要素」や「業界リーダー要素」のウエイトは減り、代わって環境にやさしい製品・サービス、環境への取り組みなど「環境要素」のウエイトが増えました。端的に言えばプリウスをはじめとしたハイブリッドカーへの評価が、その評判を支えていたのです。

そして2009年、人々の企業評価軸は大きく変わりました。前年まで評判の良い理由キーワードのトップを占めていた「環境問題・対策」の度数が下がり、「業績」「売上」「不況・不景気」がトップ3を占め、「価格・低価格」が6位に「品質・質」が10位にランクインしました。まさに、不況期において低価格と高品質で好業績をあげる企業を高く評価する傾向に変わり、ファーストリテイリングが「評判の良い企業」のトップに躍り出ました。

一方、「評判の悪い企業」についての評価軸を見てみると、2006年はライブドアの堀江社長の「逮捕」が、2007年と2008年は、ミートホープの食肉偽装、船場吉兆の食材の使い回しや産地・賞味期限偽装があり、「偽装」がトップのキーワードとなっています。そして、2009年にはトヨタ自動車が「評判の悪い企業」でトップとなり、その理由のキーワードは「派遣切り」でした。

IT企業の株取引をめぐる不正、食品偽装、派遣・請負など非正規労働者問題や格差社会など、その時期ごとにマスコミをにぎわせた社会的課題の文脈と連動して人々の企業評価軸が変化していることがわかります。

このように、企業の評判に関する評価軸は変化します。また、企業の業種・業態、その商品・サービスの種類によって、評価軸は多様です。さらに、企業と対象層との関係性、つまりお客様なのか、従業員なのか、取引先なのか、メディアなのかといったステークホルダーの種類によって、同じお客様でも、その属性やライフスタイルによって、評価軸は異なってきます。

評判づくりには、その評価軸の探索・発見が重要です。

(2010年7月14日更新)


バックナンバー
ページトップへ
Copyright (c) 2006 PR KOMBINAT INC. サイトマップ個人情報保護方針個人情報の取り扱いについて 

主催:PR会社 ピーアールコンビナート株式会社